【金融機関とのつき合い方】銀行員が貸す気になる資料を作ろう!

銀行とのつき合い方アドバイザーの稲谷(いなたに)です。中小企業診断士として多くの企業の資金繰り支援に関わってきた経験から、金融機関との円滑なやり取りは企業の成長に不可欠です。特に新規融資や借換えを検討する経営者は、銀行とのやり取りに苦労することが多いです。今回は、銀行とのつきあい方についてお話します。

1. 銀行員は忙しい


銀行員の実態を理解することが、スムーズな付き合いの第一歩です。銀行員は多くの担当先を抱え、さまざまな業種の企業とやり取りしています。具体的には以下の通りです。

(1)担当先は多く、業種もさまざま
銀行員は100社を超える担当先を持つことも珍しくなく、業種や規模も異なります。すべての取引先の詳細を理解するのは困難です。

(2)働き方改革で、残業は制限
働き方改革により、銀行員の残業時間は制限されています。日中は外回りをこなすと、社内業務に割ける時間は限られます。

(3)稟議書の持ち帰りはご法度
銀行では情報漏洩を防ぐため、稟議書を自宅に持ち帰ることは禁止されています。社内でしか書類の作成ができず、時間的な制約があります。

2. 銀行員へ説明する際の注意点


銀行員は1社に割ける時間は限られています。このため融資を依頼する時は簡潔で分かりやすい説明が必要です。無駄な話や曖昧な説明は避け、正確な情報を伝えることが求められます。

(1)社長が1時間話だけしても銀行員には伝わらない
口頭での説明だけでは要点が理解しづらく、記憶にも残りにくいため、融資判断に影響します。

(2)必要なのは「説明資料」を持参して説明すること
明確で簡潔な「説明資料」が重要です。資料があれば、話した内容を後で確認でき、銀行員が社内での稟議や上司への説明に役立てやすくなります。

3. 具体的な「説明資料」とは


銀行員に正確な情報を伝えるためには、適切な資料を準備することが不可欠です。具体的には次の資料を用意しましょう。

(1)企業概要表
会社の基本情報や事業内容、取引先、規模などを簡潔にまとめた資料。

(2)ビジネスモデル図
収益の流れや顧客ターゲット、主要な収益源を図式化したもの。

(3)決算概況
過去数年の決算書の要点をまとめた資料。

(4)資金繰り表
今後の資金の流れを予測した資料。

(5)事業計画書
今後の事業展開や成長戦略、投資計画を詳細にまとめた資料。


銀行員との円滑なコミュニケーションを図るためには、これらの資料を準備し、効果的に活用することが重要です。企業の信頼性を高め、スムーズな融資交渉を実現しましょう。

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