2024年3月に導入された新たな信用保証制度により、中小企業の経営者は、多少の保証料の上乗せで、既存の経営者保証を解除できるようになりました。
この制度は、
①事業者選択型経営者保証非提供制度(横断的制度)と、
②事業者選択型経営者保証非提供促進特別保証(国補助制度)の2つから成り立っています。
これらの制度はまだ一般には知られていないため、今回はその詳細を解説し、中小企業の経営者の皆様に役立つ情報をお届けします。
1.事業者選択型経営者保証非提供制度(横断的制度)
この制度は、中小企業が一定の要件を満たすことで、保証料率の上乗せを条件に経営者保証を提供しないことを選択できるものです。
具体的には、以下の要件を満たす必要があります
(1)過去2年間の決算書等を金融機関に提出していること。
(2)直近の決算において、代表者への貸付金等がなく、役員報酬や賞与が社会通念上相当な範囲内であること。
(3)直近の決算で債務超過でないこと、または直近2期の決算で減価償却前経常利益が連続して赤字でないこと。
これらの要件を満たすことで、保証料率に0.25%または0.45%の上乗せを行うことで、経営者保証を提供しないことが可能となります。
2.事業者選択型経営者保証非提供促進特別保証(国補助制度)
この制度は、前述の横断的制度をさらに促進するために、国が保証料率の一部を補助するものです。
2027年3月末までの時限措置として、保証料率の上乗せ分を国が補助します。
具体的な補助率は以下の通りです:
(1)令和6年度:0.15%
(2)令和7年度:0.10%
(3)令和8年度:0.05%
この制度を利用することで、中小企業は経営者保証を提供せずに資金調達を行うことができ、経営の自由度も大幅に向上します。
まとめ
新たに導入された事業者選択型経営者保証非提供制度とその促進特別保証制度は、中小企業の経営者にとって大きなメリットをもたらします。
これらの制度を活用することで、経営者保証の負担を軽減し、より柔軟な経営が可能となります。
まだ一般には広く知られていないこれらの制度を、ぜひ積極的に活用してみてください。
もし対応に困ったら、私・稲谷がサポートいたします。
経営者保証で悩んでいる方は、是非お気軽にご相談ください。