【経営者保証】 経営者保証のメリット・デメリット

経営者保証解除コンサルタントの稲谷(いなたに)です。

先日、経営者保証のメリット・デメリットについて教えてくださいとの質問を受けました。そこで、次のように回答しました。

まず、経営者保証のメリットとして、主に2つあります。

1つ目は、資金調達の円滑化が図れることです。
一般的に、中小企業は財務基盤が弱いです。このため、経営者に財産があり、いざとなったら会社に代わって借金の返済を行う旨の経営者保証(連帯保証)することで、融資を受ける際の信用補完となります。これにより、金融機関から資金調達をし易くなります。

2つ目は、経営に対する規律づけとなります。つまり、金融機関は経営者に返済の責任という覚悟を求めています。

もともと法人と個人は別人格です。法人が経営破綻しても、個人が責任を取る必要はありません。しかし、中小企業はオーナー企業が多く、ガバナンス体制が問題になります。経営者の放漫経営で経営が悪化しても、責任を取らないという事態が発生します。これを避けるため、金融機関は経営者に責任を取らせるため、経営者保証を取得します。

次に、経営者保証のデメリットも、主に2つあります。

1つ目は、思い切った事業展開を抑制していることです。経営者保証をしていると、経営者が経営に失敗すれば、個人財産を失ってしまいます。日本では、一度破綻すると、再起はほとんど不可能になるのが実態です。そのため、経営者はリスクの大きな事業にチャレンジしなくなります。

また、事業承継においては、経営者保証も引き継がれますので、後継者は事業承継という新たなチャレンジに躊躇してしまいます。

2つ目は、早期の事業再生を阻害していることです。経営が悪化した場合、経営者保証をしているからと言って、経営者は最後の最後まで頑張ってしまうことです。幸いにもV字回復が出来ればいいですが、多くの場合は経営破綻に進み、個人破産を招いてしまいます。

国はこのメリットとデメリットを総合的に検討し、「脱・経営者保証」に舵を切ることにしました。

ここで注意しなければならないのが、金融機関が経営者保証を取ること自体が禁止されたわけではありません。債務者の状況によっては、経営者保証は必要になります。また経営者に規律づけを行うために、経営者保証を取得しないといけない場合も出てきます。

現在、金融機関が経営者保証を取得する場合、経営者になぜ取得するのかという説明責任を果たす必要があります。

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